Lluminoができるまで(8) – フォント選びの深ーい世界

2013-07-16

ずいぶん間が空いてしまいました。前回は、苦しみながらもLluminoのアイコンを完成させたお話でした。 今回は、Lluminoで使っているフォントについてお話します。

フォントって高い

フォントって、パソコンを買うと既にたくさん入っています。 その中から選ぶもよし、フリーのものをダウンロードして使うのもよし。

でも、有料のフォントは格が違います。

例えば、ずっと自分が狙っている「Neue Frutiger」。 空港など、視認性が求められる用途で設計された書体をオリジナルとした、見やすさ重視のフォントです。

1つのウェイト(太さ)で、およそ1万円。 ぜんぶ揃っているComplete Packは…35万円!うぁああ!

でも、無意味に高いわけではありません。 ある書体デザイナーによる書籍が、その価値を教えてくれました。

フォントのふしぎ

もう2年も前のことです。 デザインへの興味の延長で、軽い気持ちでフォントの本に手を伸ばしました。

この本が大当たりで、本当におもしろい。

書体デザイナーの小林章氏が、優しく、わかりやすく、丁寧に、フォントを解説してくれます。

専門的な話はほとんど出てきません。 日常風景にとけ込んでいるフォントの、歴史やちょっとした面白話がたくさん入っています。

本当のまっすぐは、まっすぐに見えない

「”X” という文字を描いてください」と言われたら?

普通なら「線を2つ重ねて一丁上がり!」ですが、ホンモノのフォントは少し違います。 例えば、幾何学的な形が特徴のフォント「Futura」の “X” を見てみましょう。

ピンク色の部分が、本来のまっすぐな線です。ちょっとずれていますね。

なぜずれているのか? それは、目の錯覚を抑えるために微調整されているからです。

本当のまっすぐは、まっすぐに見えない。

すべてのアルファベットについて、このレベルの微調整が施されているのです。 それはもう、気が遠くなるほど時間のかかる作業でしょう。

あぁ、普段何気なく使っているフォントって、膨大な手間と時間がかかった「デザイナーの魂の結晶」なんだ。 …と、この本を読み終わって気づきました。

先のNeue Frutigerのこだわりようも、ページ半分ほどの巨大な文字を添えて解説されています。

Frutiger(フルティガー)と比べると、Neue Frutigerはカーブのなめらかさが違うでしょ?(中略)何度も打ち合わせとダメ出しをして、ほんとに時間かけてます。「ちゃんとつくってますから」って胸を張れるように。 (p.163: 「Neue Frutigerのキレイなカーブ」より)

か、カッコイイ! Neue Frutiger、いつか手に入れたい。

Lluminoのフォント

話をもとに戻しましょう。

Lluminoで意識的に使っているフォントは、主に2つです。

電卓画面には「Trebuchet MS」

アプリ内、主に電卓画面で使用しているのは、Trebuchet MSというフォントです。 数字が映えるこのフォント、電卓との相性は抜群です。

クールな全画面ストップウォッチ「BigStopWatch」で使っているのを、制作者に教えてもらったのがきっかけです。

過去の紹介記事で、フォントの由来などについて詳しく触れています。 興味のある方はこちらへどうぞ。

シンプルに美しく、時を計る。BigStopWatch

ロゴには「Avenir Next LT Pro」

Avenir Nextは、すっきりした形が特徴のサンセリフ体。

Macをお使いの場合は、AvenirとAvenir Nextは最初から含まれています。やったね!

自分が使っているのは、Avenir Next LT Proの細い書体です。 セールをしているときに購入しました。

「LT」はLinotypeの略でファウンドリー(= つくった会社)の名前、「Pro」は含まれている文字の種類が多いということ。

(参考: フォントがもっと分かる!欧文フォントの名前に付いているアレの正体とは?)

スッキリしたイメージが、Lluminoのイメージとぴったりなんですよね。 細めのウェイトで文字を大きくすると、カッコよく仕上がるのでお気に入り。

…と、このテクも「フォントのふしぎ」に教わったんですけどね 😉

ウェイトの使い分けもけっこう大事です。最近の傾向は、大きく使われる文字で、けっこう細身のウェイトが多いこと。 (p.114: 「ボールドとかライトって?」より)

ふしぎな縁

あとで気がついたのですが、今回採用したAvenir Nextは、先の「フォントのふしぎ」の著者でもある小林氏が手がけたフォントでした。 不思議な縁もあるもんだ…と思いつつ、ちょっとうれしくなりました。

さて、長いこと続けてきたLluminoを語るシリーズも、次回が最後の予定です。

つづく。