本日、品川で開催された DEXS (Design Extreme Seminar) 2013 に参加してきました。
公式サイトの説明によれば、
テクノロジーで、すべてのクリエイターの手助けをしたい。 そんな想いを形にする、クリエイター向けセミナー DEXS 2013 が今年も開催。 今回は、フォトグラファー、映像制作者、プランナー、Web デザイナーの方などに向け、それぞれの業界のトップクリエイターが 様々な事例やアイデアを交えながら、テクノロジーを活用する方法をお話しします。この機会に、ぜひご参加ください。
要するに、トップクリエイターのお話が聞ける場、ということですね。 今回はこんなプログラムでした。
人間の記憶力、集中力はそんなにもたないもので、参加者が持ち帰れるエッセンスはごくわずか。
自分が受けとった空気感・刺激を忘れないように、ここでは自分がビビッときた2つの要素を書き残しておきます。
網羅的な内容は、他のちゃんとしたメディアにお任せしましょう。 (あるのかな?)
川村氏、高崎氏のセッションから、共通して感じた要素です。
2番目のセッション、川村氏のお話では、andropというバンドの曲「Bright Siren」のPV制作の事例が紹介されました。
最高にクールですね。 曲の中に出てくる「思い出」というイメージから、思い出を記録するカメラを連想し、この表現に至ったそうです。
これだけの台数のカメラを発光源として使う試みは、今までなかったでしょう。 前代未聞の表現技法、その制作の裏側がおもしろいのは必然でもあります。
このメイキング映像は、海外からの反響も大きかったそう。
「作り方を変えると、違うものができあがる」。
川村氏は、その斬新な「作り方」も作品の一部とすることで、本編の芸術性を高めています。
セッション変わって高崎氏は、ドコモ dビデオのCM制作について。 松田龍平と米俳優のロバート・デ・ニーロが共演しています。
デ・ニーロが出演しているだけでもすごいことで、交渉には相当苦労したとのこと。 それでも高崎氏には、どうしても実現したい理由がありました。
それは、 松田優作が唯一認め、共演したいと語る俳優がデ・ニーロだったこと。 松田優作が病に倒れ、ついに共演が叶わなかったこと。
松田優作の子で悲願の共演を実現し、歴史に1ページを加えたかった。
ぐっときますね。
このエピソードを聞いてからCMを見返すと、また違った趣を感じるのではないでしょうか。
「クリエイターは作品で語るべきで、本人の口から語るべきではない」と言う人もいるでしょう。 でも、自分は今回のセッションを聞いて、純粋に「いいなぁ」と感じました。
制作者がどのように考え、想い、作品を生み出したか。 自分はもっと、出していきたい。
3番目のセッション、高崎氏は「さすがあの電通」といった雰囲気。 「バズる = 話題になる」という現象を、とても深く研究していることが伝わってきます。
過去の作品を紹介しながら、「いま作って公開してもバズると思います」とコメント。 確かに話題になるだろうなぁ…。
かなり前の、auのCM。
旧友の名字が思い出せず、適当に言ってみるがなかなか当たらない。 そこで、当時ではまだ珍しい写真付きメールを他の友人に送って、名前を確認する。 「鏑木だよ」と返信をもらうが、どう読んだらよいかわからない…というCM。
「メールで写真を送れる」という製品の魅力を自然に伝えつつ、最後はしっかり落としています。 高崎氏は、CMで完結しないこの要素を「あと一歩の隙」と表現していました。
もうひとつは、公共広告機構の「こどもから想像力を奪わないでください」。
黒いクレヨンを無心で塗り続ける子供。 CMの最後で、想像できない結末を迎えます。
「見る人の予定調和を、どれだけ気持ちよく崩せるかを考えている」と高崎氏。 どちらのCMにも、「想像を超える = 予定調和を崩す」結末が盛り込まれています。
人は予定調和を崩されることで、気持ちよく騙された体験を誰かにシェアしたくなる。 そんな質の高いバズを生み出していきたい、と語っていました。
人が話題を共有したくなるときっていうのは、どんな形であれ、その人の感動を超えたときなんですよね。 予定調和を崩せるような品質やアイディアを、自分も狙っていきたい。