#VimConf2017 での発表 “Creating Your Lovely Color Scheme” の舞台裏

2017-12-11

この記事は、Vim Advent Calendar 2017 11日目の記事です。前日はkoooooooooooooooooheさんによる「Vim を使い DarkPowerを得る」。

Vimの国際カンファレンス「VimConf 2017」にて、大好きなカラースキームについて発表してきましたが、今回はその舞台裏についてのお話です。

VimConf 2017

VimConf 2017」は、11月に開催されたVimの国際カンファレンス。海外からゲストスピーカーを招き、スライドはすべて英語で用意され、英日同時通訳が入り、昼食には超高級東京風弁当が出るなど、本格的にインターナショナルであることを意識したカンファレンスになっていました。

Creating Your Lovely Color Scheme

わたくしcocoponは、高まるカラースキーム愛を共有するために発表枠に応募。たくさんあった(らしい)応募の中から運よく選ばれたのでした。主催のどなたかが「バランスよくテーマを選んだ」と仰っていたので、おそらく他の方の分野とはかなり離れている、半分デザインに足を突っ込んだような内容だったのがよかったのでしょう。

発表資料はこちら。

「カラースキームを作るためのステップ」「配色を決めていく際に使えるテクニック」「配色で気をつけるべきこと」「ライバルを探すための方法」「拙作カラースキームギャラリーの宣伝」といった内容について解説しています。

ここまでは表向きのお話。ここからは発表の舞台裏についてです。

今回の目標

発表する前に、この発表で達成したい目標を決めていました。「カラースキームを作る楽しさを伝える」「カラースキームを作ってみようかなと思わせる」といった基本的なことはもちろんですが、その他にもいくつか。

ドン引きするくらいの熱量を伝える

話す人の熱量がすごいプレゼンって、溢れた熱量がこちらまで伝わってきて楽しいですよね。そういう空気を意図的に出していきました。

スライドのデザインをきっちり仕上げる

今回は半分デザインのお話なので、スライドのデザインがひどいと納得感がありません。拙作のカラースキーム「Iceberg」をベースに、ここはきっちり仕上げました。

デザインの話はなるべく平易に、説得力を持って

今回の聴衆はほぼエンジニアですので、デザインの話はできるだけ平易に説明することを心がけました。

配色については感覚的になりがちなので、色覚や国際規格など、学術・科学的な側面からもフォローしました。

笑いどころを差し込む

今回のカンファレンスは丸一日の長丁場になりますし、自分の出番は昼食も終わって一段落後の眠い時間帯でした。聴衆を飽きさせないためにも、ちゃんと笑いどころを作ることを心がけました。今までできていなかったので、個人的にはチャレンジングな目標でした。

制作時間

Vimの重鎮の方々が聞くということもあり、初の海外に向けた発表であるということもあり、かなり気合を入れてスライドを制作しました。自分は1年ほど前から、ほぼすべての作業時間を記録するようになったのですが、それによると約65時間でした。

他のスライド制作時間のデータがないのでよくわかりませんが、感覚としては「めちゃくちゃ時間かけたなー」といった感じです。

発表練習も念入りに行いました。まずは章ごとに、説明が詰まらなくなるまで脳内再生し、それぞれの所要時間を正確にしていきます。最後に通しで数回。30分枠での発表でしたが、本番ではたしか29.5分ほどで、ほぼ完璧な時間配分でした。本当によかった…。

他者によるレビュー

発表資料の仕上げには、信頼できる他者によるレビューが不可欠です。一人で作っていると、自分の頭の中にしかない暗黙知が排除しきれず、分かりやすさに欠けるものになりがちです。他者にレビューしてもらうことにはたくさんのメリットがあります。

  • 自身の暗黙知に気づける
  • 別の視点・知見からの気づきを得られる
  • 見逃したミスに気づける
  • お墨付きをもらっているので、自信がつく

などなど。レビューしてもらうことのデメリットはありません。恥ずかしがらずにどんどんレビューしてもらうのがよいと思います。

発表版とWeb公開版で資料を分ける

発表時に用いる資料と、のちにWebで閲覧される資料では、それぞれ特性が異なります。

発表時の資料は、口頭説明の補足的な役割を果たします。発表はサクサク進んでいきますので、たくさん情報を加えても聴衆はそれを追うことができません。必要な情報はなるべく大きく、その他は目立たないように小さくするか、思いきって省いています。

一方、Webで閲覧される資料は、閲覧するのに十分な時間があります。ユーザーはじっくり時間をかけて読むことができますし、ダウンロードしたPDFを拡大することすらできます。ですので、文字を拡大する必要もなく、補足的な情報もいくらか加えられます。

よいことづくめに思えますがそうでもなく、例えば口頭による説明がないため、全体の流れが掴めない不親切な資料になりがち…という特性もあります。口頭で説明したことはスライド下方に字幕的に加え、資料単体でも流れを追いやすくしました。

その他の小話

服がIceberg色だった件

これは偶然ではありません!というのも、わたくしネイビーをはじめとする青系が大好きなので、持っている服も自然とそんな感じの色合いになっています。Icebergが青いのは、青が好きだからです!

図をVimで書いている説

正解です。よく気づきましたね。今回はVimというテキストエディターのカンファレンスですので、スライドのデザインもそれを意識しています。フォントはプログラミング用の等幅のもの(タイトルにRoboto Mono、本文にSource Code Pro)を使い、ほとんどの図は罫線素片で、つまりはVimで作図されています!

最後にひとつだけお願い

以上、VimConf 2017の発表裏話でした。最後にひとつだけ、お願いをさせてください。それは…。

Vim本体への同梱を目指して、カラースキーム「Iceberg」を応援してください!

「[Iceberg][iceberg]」は、発表でも伝えきれないほどの愛が詰まったカラースキームです。スター数はあと少しで300を突破しそうな勢いです。ありがたや…。

さいきん、Vim本体で「同梱するカラースキームを増やそうぜ」というissueが上がりまして、議論が続いています。「Icebergも入れてほしい。でも自薦するなんておこがましいよな…」なんて思いつつも、土俵に上がらないとはじまりませんし、人生一度きりなので、勇気を出して飛び込んでみました。その結果、VimのTODOリストに名前が…!(皆さまのVimにも入っているかも)

選考にあたり、カラースキームそのものの質はもちろんですが、「based on popularity」と書かれているので、おそらくは知名度も影響してくるのでしょう。ですので、もしよろしければ…。

公式サイトの中央あたりにある「rate this script」で投票を!

GitHubのリポジトリにスターを!

…それぞれいただけると、とてもうれしいです!!

Vim同梱のカラースキームに仲間入りして、世界中の人たちが自作のカラースキームを使ってくれる…。それは、カラースキームラバー・製作者にとって、最高の夢なのではないでしょうか。

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